Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme
せめて百年は生きたいものと思いまする。ああ、生きたい、生きたい。――折角、この身、日本に生れ、やわか、中国、四国、九州ぐらい見物して、それで生涯の満足ができましょうや。君には、如何思し召すや存じませんが」
「こやつが」
信長は、いきなりその右の手を以て、秀吉の肩を、強く叩いた。それは、会心の笑みと力とをこめて思わず打った強さだった。
「覚くも、わが胸を察して云いおるわ。生きようぞ、百年も」
この時代の人の眼孔は大きかった。
日本を、当時の日本だけにしか、観ることの出来ないような狭小な眼は、徳川期になってから、後天的に努められた観念である。
信長は、後の鎖国主義などというものを、知らなかった。
秀吉においては、日本の小ささをさえ知らなかった。彼の世界観は、彼の常識と観念の上から、日本を最大なものと考えていた。日本と較べるような地球上の「大なるもの」はあるわけがないとひとり呑みこんでいた。
だから彼はこよい信長から、六曲一双にわたる全世界の地図を見せつけられて、日本の存在をその尨大な陸地面からさがし求めるのにまごついたにしても、西欧南洋北夷諸州の箇々の大きさに、そう驚きはしなかった。