Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme
ただ、
「これが日本か」
と、眼を凝らして、
「思っていたよりは小さい」
と、感じただけに過ぎなかった。
そして、嘆じられたのは、
――世界は広大だ。
ということだった。人の天寿はそれに比して、余りにも短いと思ったことだった。
彼ばかりでなく、総じて徳川鎖国主義以前の――元亀、天正の人間には、おぼろげながら、万里の波濤の彼方にも、人とよぶ異人、国とよぶ国が、無数にあることについて、詳しく知っていた。その海外知識はまた、宗教を通じ、美術を通じ、鉄砲を通じ、織物や陶器や自鳴鐘を通じて――日に月に滔々と東漸して来た時でもあった。
「国は多いよ、海は広いよ、けれど何千何万里、漕ぎ巡ってみたって、日本のような国は、ありはしない。唐天竺といったって、ありはしない」
こんな言葉は、幼少の時から、秀吉などよく聞かされていたものである。
尾張の中村附近にも、そういうことをよく語る年老が、二、三人はいた。
村の人のいうには、
「彼の衆はみな若い頃には、八幡船とかいう船に乗って、明国から南蛮へまで押し渡ったものじゃそうな」
とのことであった。
秀吉がまだ子どもの頃だった天文年間には、もう和寇はだいぶ下火になっていた。