Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
光秀の膝がつと光春の膝へ迫った。いきなり詰め寄ったのである。すぐ左の手は光春の襟元をつかみ、
「否か」
右手は小剣の柄をにぎって、恐ろしい力で締めた。
「応か」
「…………」
押されるたび、光春の首は、骨のないように、仰向いたまま、左右にうごいた。その面上から飛びちる珠は涙だった。
「この期になって、否も応もあるものではございません。……殿がまだ、余人にこれをお洩らしあそばさぬ前なら知らぬこと」
「では、承知してくれるか。……わしと共に、起ってくれるか」
「あなた様と光春とは、ふたりであって一人も同じです。あなた様なくも生きていようとする光春ではございません。主従の名においても、血縁の上からも、同根同生、ここまでの生涯も共に参りましたからには、この先の運命も元より共にする覚悟ではございまするが。……ああ、それにしても」
「案ずるな光春。乾坤一擲伸るか反るかだが、かく一同に語ろうて、この日向が起つからには、勝算は胸にあることだ。事成ればそなたにも、坂本の小城一つを持たせてはおかぬ。尠なくも、われに次ぐ栄爵と数ヵ国の太守はお汝にも約されておる」
「ええ。そ、そんな、問題ではありませんっ」