Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
「比田帯刀どのお召しです」
「堀与次郎どの、御本陣で召されます」
「村越三十郎どの。お召し」
さっき馬前に呼ばれた部将中の主なる人々が再度、光秀のいる八幡の森の中へ呼ばれて行った。
ここは薄暮の日蔭と、ひぐらしの声に、涼気は水のようだった。
いましがた拝殿の方で、柏手の音が聞えた。光秀以下、幕僚たちも揃って、神前へ願文を籠めたものらしい。
――思いあわせると。
この篠村八幡へは、かつて元弘の頃、足利高氏も、願文を籠めたことがある。高氏はこの駅路に来て旗を立て、勅命にこたえ奉るなりと声明して、一挙京都に入り、六波羅を陥した。高氏の部下が矢を納めたという矢塚も遠くない。
敵こそ違え、測るに光秀の胸には、こここそは足利氏が室町十数代の基をなした発足の地という由縁をかならず想起していたであろう。こういう古蹟なので、従来、室町幕府は代々ここの社には特別な崇敬と保護を寄せていた。光秀がその由来に無知なわけもない。
昭々たる神のみ前に、光秀は自己なるものを、いかに辱なく持とうとしたろうか。
腹心の家臣が、眦を裂き、いかに哭いてこの挙をすすめたとしても、彼と信長との間の私憤私恨だけでは、なお顧みて安んじきれないものがあろう。