Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
四条の南に綾小路があるゆえ、それと対比して以後は錦小路と呼ぶべしと、官から申しつけが出たことなどもあったらしい。だが、その面影は今も失われず、「さいかちの木」の鴉とこことは朝晩にがやがやと物音たかい生活力を昂げていた。
「ばてれんが来たよ」
「ばてれんが行くよ」
「きれいな鳥籠持って、南蛮寺の坊んさんが通るよ」
ひん曲った板屋廂の下や、荒壁と荒壁の路地のあいだから、この界隈の子達が、あせもだの腫物だの、鼻くそ光りの顔をもって、羽の強い虫みたいにいま飛び出して来た。
三人のばてれんは、声をきくと微笑をもって、友人達を待つように歩を緩めた。
南蛮寺はここから遠くない四条坊門にあった。この界隈の貧民窟には、朝に本能寺の勤行が聞え、夕べには南蛮寺の鐘が鳴りひびいた。
本能寺の門は厳めしく、本能寺の僧衆はみな怖い顔して歩いているが、南蛮寺のばてれん達は、この汚い裏町を歩くときも、愛嬌を撒いて行くのを忘れない。
腫物の子を見れば、その頭を撫でて療法を教え、病人のある家をのぞけば度々見舞って施して去る。夫婦喧嘩は犬も喰わないというが、南蛮寺のばてれんが通りかかればその夫婦喧嘩にまで立ち入って、懇ろに裁いてやる。