Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
今も。
名知らぬ南方の小禽を黄金の鳥籠に入れたものと、ばてれん達が本国から連れて来た料理人に製らせた南蛮菓子を器に容れた物とを捧げて、三名のばてれんは、これから信長の台下までそれを献上に行く途中であるらしかった。
「ばてれんさん。ばてれんさん」
「その鳥、なんていう名?」
「その筥ん中、何?」
「菓子ならおくれよ」
「おくれよ。ばてれん」
尿小路の子供たちは、忽ち道を阻めて、寄りたかったが、三名のばてれんは、うるさい顔もせず、片語の日本語でにこにこ諭しながら歩いていた。
「これ、右大臣様へ上げる。勿体ない。みんなに上げるお菓子、南蛮寺へお母さんと来たとき上げる。いま、ありません」
それでも、なお、後に尾いたり先へ廻ったり、ぞろぞろ取り巻いて来るうちに、その中のひとりの子が、本能寺の角の空濠の中へ、ぽしゃんと蛙のような音をさせて落ち込んでしまった。
水はないので溺れる気づかいはないようだが、濠の底は沼に似た泥である。今そこに落ちた子は泥鰌のようにいたため、あれよと上で騒いでいる間に、すぐ一命の危険となった。
大人でも落ちたがさいごやすやすと上がれない石垣だ。