Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme

Aozora Bunko

そして、束ねたような無数の槍の穂だけが、ぎらぎらと陽を刎ね返し、その燦光で武者たちの塊りもけむるばかり、ただ、にらみ合っていた。

「…………」

「…………」

声なき中に異様な声がある。しかもその最前列の武者には、天地みな音もないような心地がした。いかに場数を踏んだ武者でも、この一瞬には耳に音なく、眼に何ものも見えず、胆はすくみ、具足で固めた脛までも、わななき顫えるのをどうしようもないという。

しかし、もとよりそれは短い短い一瞬のことである。たとえ顫えている踵でも、一寸でも退きはしない。じりじりと前へ出ている。勿論、彼も刻むように、足の先で近づいてくる。

「うわうっ」

と、ひとり誰かが、怒濤の中へ飛び入るように吠えて、だっと出る――。間髪を入れず、だっと味方の四、五名も続く。

それに気押されて、敵の前側の列が、ぐっと凹んだせつなが、血の吹きとぶ途端である。敵たりとも、凹んだきりではいない。すぐ逆巻く波がしらを作って、蔽いかぶさるようにぶつかってくる。

橋上すでに渦巻いて、血は欄にとび、濠にながれ、死屍を踏む者、また死屍へ重なり合うとき、明智方は彼方の濠ばたから、銃をそろえて城兵を狙撃し出した。