Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
いざ来い。松野平介の一卜槍うけて末代の語りぐさとなせ」
と、頻りに敵軍をさしまねいていた。
落城の煙を仰いで、濠ばたの明智勢はもう傷口の手当をし合ったり、息休めをしていた。
松野平介の声は、たしかにそこまで聞えている。ときどき、明智の兵は、妙覚寺のほうを振り向いた。
「変なやつがいる?」
とでも思っているのか、たれも相手に立って来ない。
平介は、業を煮やし、味方が寺内に残して行った鉄砲を持ち出して来て、狙い撃ちに、明智の兵を三、四人撃った。
俄然、土けむりが、此方へ向って駈けて来た。そして妙覚寺の大門を包囲したが、まさか平介ひとりとは思わないので、
「油断すな。寺内に残兵がひそんでおる」
と、ひしめきつつも、容易に近づく者もなかった。
平介は、槍を把り直して、最前の大言をもういちど繰り返して、
「冥途のみやげに手頃な首はどれだ。どれもこれも愍れむべき細首。逆に組し、乱の手先に働いて末始終、胴によくつながっている首はあった例しがないぞ。どうせ捨てるものなら潔く松野平介の槍をくらって、せめてもの名残にしろ」
と、らんらんと睨め廻した。
妙覚寺にはまだ敵が残っているという沙汰に、附近にいた斎藤内蔵助利三の一部隊が、すぐ加勢に駈けつけた。