Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
如何なる変が待ちうけておるやも測られませぬゆえ」
すると家康は笑った。
「いや、いまの取次の容子では、そんな憂いはない。もし異変を知って帰って来た物見なれば、必定、その血相は取次に移り、取次の語気は、またその凡ならぬものをこれへ移して来たであろう。いまの小姓の気ぶりでは、問わずとも、さしたる異常のないことを無言にも語っておる」
数正は赤面した。同じ気持であった他の宿老は、救うように、話題をほかへ紛らした。
「いったい、光秀ほどの者が逆意を仕果して、それが天下に容れられるものと思っておるのであろうか」
家康は黙って、聴く立場を取った。家臣の評も概して一般と異ならないものだった。何よりは光秀が君臣の道義を破壊した点をみな非難した。
「殿のお考えは」
終りに榊原康政が問うた。ほかの家臣も、主人の光秀観を知りたい態であった。
「一言にいえば、光秀はあの賢才を抱きながら、いつのまにか、たった一つの美徳を心に失っていた」
家康はそう前提して、
「謙虚を失っておる」
と、いった。
康政が、かさねて、
「けれど、日向守には平常もずいぶん慇懃な方で、人いちばい謙虚に見うけられましたが」