Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
「こういう時に迷うていたら限りもあるまい。寧ろ、時が大事だ。一時も早いがよい。それと決めよう」
物事について非常によく考える人でもあるが、また時には、驚くべき放胆と不敵を示す家康であった。そう一決を下すと、彼はすぐ云った。
「腹がすいた。寺僧に湯漬を命じておけ。そのまに支度して黄昏とともにこの寺を立とう」
一行わずか五十人足らずの主従であった。そのうち騎馬の者は六、七名。小姓侍をあわせて三十名とはいない。あとは乗換馬を曳いたり、荷を持ったりしている足軽小者である。
もし土寇の群れにでも襲われれば、たちどころに包囲され、全滅するほかはなかった。乱を見れば忽ち蜂起して、好餌を漁りまわる土匪の徒や野武士の集団は、故信長の遺業がここまでになっていても、まだまだ決して根絶されてはいない。天文、永禄の世頃から見れば、ずいぶん減って来てはいるが、なお少し山間僻地に入れば、さながら百鬼夜行のごときものと随所に出会うのが常であった。
――果たして。
家康の一行が、信楽から伊賀へと向って来たときあとから追いついて来た家士の一名が、その戒めともなる生々しい一事件を告げた。