Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
これも両将不和の一因とか聞き及んでおりますが」
「ウム、なるほど」
あらかじめ偵知していたことと、弥九郎のはなしとは、よく一致していたらしい。
秀吉は、ひとみを大きくして、もういちど深く顎をひいた。
「弥九郎」
「は」
「もっと、前へ寄れ。これからの談合じゃ」
「はい」
怯せず、弥九郎は、前へすり寄った。ほとんど、膝もふれあう程まで。
「何事でございますか」
「どうだ、侍にならんか。――これは十数年前にも、小西屋の店さきで、そちの頭を撫でながらいったという、わしの言葉手形を、ここで実行することになるわけだが」
「……左様ですな」
うんと、すぐにはいわないのである。弥九郎は熟慮してから答えた。
「――成ってもよろしゅうございますが」
「が――と濁るのは、成ってもよし成りたくもなし、というわけか」
「忌憚なく申しあげます。御承知のとおりてまえは、堺の薬種問屋、小西屋寿徳の次男と生れ、のちに岡山御城下の同業の家へ養子として参り、たえず堺と中国を往来し、諸家へ、薬をお納めしておりますが、これはなかなか悪い身分ではございません」
「……ふム」
へんなことをいう臆面のない男だと、秀吉は、感心しているような、またすこし、鼻白んだような面持で、まじまじと、弥九郎の唇もとを見まもった。