Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 176.911 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

とばかりいって、決して、仕方がないとは諦めない。この数日のあいだにも、ニコともしてくれないのである。

(こんな強情で冷たいばあやだッたかしら)

と、於通にすらあやしまれた。が彼女は、お沢の乳ぶさの甘さを覚えている。恐くも何ともないのである。

乳母のお沢にはすでに良人がない。於通を岩手へつれて行って、遠いむかしの縁にすがり、松琴尼に薫陶を頼んだのはその良人だった。――が、まもなく一昨年、病で亡くなった。

(以前のわたしではいけない)

と、お沢は、於通のすがたを見たとたん、自分の胸へいいきかせた。良人の意志を思えば――いや、於通の父小野政秀が日ごろから良人や自分たちの夫婦へ、

「たのむぞ、万一のときには頼みおくぞ」

と口ぐせに遺孤を案じていっていた遺託を思えば――心を鬼にもしなければいけないとお沢はかたく笑顔を閉じているのだ。

「ばあや、いくら帰れ帰れといっても、尼院はわたくしの性には合わない。於通は、都へ出たいんです。いけないと止めても、きっと行ってしまうからいい」

「おひいさまは、いつの間に、そんな悪性におなり遊ばしたんですか。乳母は……いいえ、あなた様のお父君も、わたくしの良人も、草葉の蔭でさだめし嘆いておいでられましょう」