Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 176.911 Zeichen · 353 Bildschirme
三郎兵衛は、笑って、
「甚内どのか、よくぞ来た。さむらいの礼儀なれば、まず一矢、挨拶申すぞ」
瞬間、矢玉がばらばらと答えて来た。小勢ながら甚内方は、石垣へ取ッついて、夕方まで奮戦した。
夜に入った。どうも手応えが薄いが――と怪しんでいると、やがて、城主滝川三郎兵衛以下、城兵はみな、搦め手から逃げ去ったという報らせが入った。
甚内は、却って、茫然としてしまった。
試みに、城門へ近づいてみた。撃って来る銃声もなく、一すじの矢も飛んで来なかった。
「やはり虚伝でもないらしい」
甚内は、城門を越えた。さらに外曲輪をふみこえ、本丸まで入ってみた。
「空き城だ。……まるで」
「城将滝川三郎兵衛始め、ひとりの城兵も出で合わぬが」
「いったい、これはどうしたことぞ?」
甚内に続いて来た決死の郎党たちも、意外な事実にあたりを見廻し、こういぶかり合うのみだった。
この伊賀上野は、筒井の持ち城として以来、ここの地勢と相俟って、世上有名な堅城のひとつである。しかも豪勇の名ある滝川三郎兵衛が、三千に近い兵を擁し、これに拠って防守するとなれば、いかに脇坂甚内が、一死をもって当ったところで、たかだか手飼の郎党の三、四十名や、遽かに糾合した地侍の百や二百で、踏みやぶれるわけは絶対にない。