Japanische Klassiker mit Furigana
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しんじゅのことば
新樹の言葉
Lesen Sie 新樹の言葉 (しんじゅのことば) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.156 Zeichen · 59 Bildschirme
こないだも、一日仕入が早かったばかりに、三万円ちかく、もうけました。」
「永いこと、おつとめなのですか?」
「中学校を卒業して、すぐです。家がなくなったもので、皆に同情されて、父の知り合いの人たちのお世話もあって、あのデパアトの呉服部にはいることができたのです。皆さん親切です。妹も、一階につとめているのですよ。」
「偉いですね。」お世辞では、なかった。
「わがままで、だめです。」急に、大人ぶった思案ありげな口調で言ったので、私は、可笑しかった。
「いいえ、君だって、偉いさ。ちっとも、しょげないで。」
「やるだけのことを、やっているだけです。」少し肩を張って、そう言って、それから立ちどまった。「ここです。」
見ると、やはり黒ずんだ間口十間ほどもある古風の料亭である。
「よすぎる。たかいんじゃないか?」私の財布には、五円紙幣一枚と、それから小銭が二、三円あるだけだった。
「いいのです。かまいません。」幸吉さんは、へんに意気込んでいた。
「たかいぞ、きっと、この家は。」私は、どうも気がすすまないのである。大きい朱色の額に、きざみ込まれた望富閣という名前からして、ひどくものものしく、たかそうに思われた。