Japanische Klassiker mit Furigana
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しんのあいこくしん
新渡戸稲造論集
新渡戸 稲造
Lesen Sie 新渡戸稲造論集 (しんのあいこくしん) von 新渡戸 稲造 (にとべいなぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.620 Zeichen · 196 Bildschirme
四 公明正大の死
けれども、私はこのソクラテスが全然好きなのだから、その美点ばかりを挙げて差支えないことと思う。グロードなどいう人は、ソクラテスの短所を覓めて、悪辣な筆を運ばし、一時読書界の注目を惹いたこともあったが、しかし、これも今日では、殆んど観察点が外れていて、いずれも正しい筆でないことが明かになった次第である。
四 公明正大の死
私は、ソクラテスの最も偉大なる点を以て、彼の悲劇なる死際の公明正大なのに持って行きたいと思う。ソクラテスの死は、真に死を見ること帰するが如しであった。彼が罪なくて牢獄の人となった時には勿論人を恨まなかった、弟子などが集って来て、頻りに弁護せよ弁護せよと勧告するけれど断乎として肯わない。弟子どもは声を励まして、「先生が何の罪もなくして死なれるのが残念です」というと、ソクラテスは嫣然笑って、「さらば罪あって死ぬのは残念でないのか。死ぬる死なぬは畢竟第二義のことだ。心の鍛錬が第一義だ。」といって聞かした。そして誰も恨まず、天も地も怨みず、泰然自若として振りかかる運命を迎えたのである。
私は、平生自分に関した不愉快な世評を聞いたり、悪口などを耳にすると、この場合、ソクラテスであったら、どういう風に始末したろう、と考えてみる気になる。