Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
「ジョセフィヌさん、こんなにして毎日ここから眺めていらしたのかしら。でも、そのときもこうだったんでしょうねきっと。あの河の胴の長長としているところ、象牙で出来た河みたいだわ。美しいのね。」
千鶴子は左方に真近く見えるノートル・ダムを眺め、また下流にうねる河水の緊密した容積のどっしりとした明るい水面を見降ろした。すぐ観台の真下にコンコルドの広場がある。矢代は自分の好きなその広場を今まで忘れていたのを思うと、いつもより千鶴子に心を奪われていた自分の失念のさまもまた思われるのであった。
「あなたはベルサイユの宮殿で、アントワネットの寝室御覧になったでしょう。あの部屋からここのこの広場まで引き摺って来られて、ここでアントワネットが断頭台に乗せられたんですから、すぐその後の皇妃のジョセフィヌにしたって、こんなに暢気な気持ちじゃこの河を見てられなかったんですよ。それに今日みたいにコーヒーも飲めないなんて日だったら、昔ならここでもう今ごろは、断頭台が押すな押すなの賑いだ。」
日光をはね返している壮大な広場の中では、数十本の噴水がソーダ水の漂い溢れるような清らかさだった。