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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

「さア、僕らも俳句だ。」

と東野も云って裏口の方へ廻っていった。久慈は塩野や東野のようにそんなに熱心になる芸術心は何もなかった。むしろ、こうしてぼんやり街を見降ろしている方に興味があったが、しかし、二人のように夢中になれる何物か自分もほしいと羨ましく思い、また、何んとなく二人の様子を馬鹿馬鹿しくも思ったりしつつもその間に挟まって、取り残されたような脂っ濃い自分と真紀子が淋しくも感じられて来るのだった。真紀子は夕暮に近づいたパリの景色を眺めながらも、もう久慈から放れることが出来ないらしかった。

「ね、これであたしたちのいるここ、どれほどの高さかしら。」

こんなに訊ねる彼女の眼も、階段を昇った興奮の記憶がまだ影をひき美しく冴えていた。

「あの鐘楼の高さが六十八米あるというんです。ここのお寺はこれで、東京の日本橋みたいにフランス全部の道路の中心標示になっていて、この下の礎を初めて置いたのはモーリス・ド・スリイ司教というんだそうだ。正面だけ造るのにこれで六十年もかかったというんですよ。」

久慈は足もとを二方から巻き包んだセーヌ河の流れや、その両側のパリの起伏を見降ろしつつ、いつの間にか欄干に両手をついた怪獣と同じ姿勢でいる自分に苦笑するのだった。