Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

まことにこの下の街街に荒れ狂っている左翼と右翼のさまを、こうして怪獣の姿で眺めていると、世放れのした気持ちが乗り移り、自然に顔の筋肉も妙に歪むのが感じられた。

「うむ。分るぞ。お前さん。」

久慈は親しくそう呟きたくなったが、ふと、それより分らぬのは横にいる真紀子と自分の明日からだと思った。とにかく、もうこれは危険な線を飛び越してしまっている二人だった。北塔の方から群落して来た鳩の風が弧線を描いて怪獣の中へ流れ込んだ。と思うと再び、真紀子の首をかすめんばかりに舞い群がって夕日の方へ飛び立ち、ぐるりとまた廻って北塔の方へ散ってゆく。

「あら、塩野さん危い、あんなとこ撮ってらっしゃるわ。」

真紀子に云われて久慈は見ると、塩野は裏口の方の脆い石の欄干から倒れんばかりに身を乗り出し、眼もくらむ真下の通りへカメラを向けていた。

「あの人、どうも今日は気違いだね。足を掴んでてやらないと、落っこちるぞ。」

と云って、久慈は塩野の方へ急いで歩いていった。

「もうこれや、フィルムが無くなりそうだ。困ったなア。」

塩野は久慈を見て一寸笑ってからまた欄干の上へ飛び移って、怪獣の頭の上に留っている鳩を狙った。