Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.885 Zeichen · 27 Bildschirme
ものだから清浄な心がこもっていなければ、口癖のようにそう云いましてね、一蓋ずつ自分で毎年つくりますの、こんな物でも手作りのせいですか、おかしいほど大切にしていますからね、あなたもこれだけは叮嚀にしてやって下さい」
「まあさようでございますか、たいそうお上手にお作りなさいますこと……」
あきつはその笠をうち返し眺めながら、云いようもなく温かな、ゆかしい気持を感じさせられた。なんの奇もない一蓋の萱笠ではあるが、ほどよく枯らした萱の清らかな色といい、一文字にきっちりと編みあげたつくろわぬ形といい、いかにも素朴ですがすがしく、――頭に載せるものだから、と云ったその人の心がよくあらわれているように思えた。
そのときからあきつには新しい感情がめざめだした。大三郎その人の姿は垣間みたこともない、ひとの噂をいろいろ耳にして、それをたよりに人がらを想像していたのである、けれどもより女の話を聞き、その萱笠を見てからは、大三郎という人がまるで違った風に考えられた。……大酒を飲むとか粗暴だとか、傍若無人だといわれるかれと、自分でこつこつと萱笠を編み、それを大切にするかれとは、どうしても印象が一つにならない。