Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんだっしゅつき
日本脱出記
大杉 栄
Lesen Sie 日本脱出記 (にほんだっしゅつき) von 大杉 栄 (おおすぎさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 76.254 Zeichen · 151 Bildschirme
「それでは、禁錮幾カ月、罰金いくら。その次は何の誰……」
というような調子で、一瀉千里の勢いで即決して行く。
僕の番は六、七人目に来たが、やはりそれと同じことだった。
「お前はいつ幾日か、にせの旅券とにせの名前でフランスにはいったに相違ないな。」
「そうです。」
「それについて別に何か言うことはないか。」
「何にもありません。」
「それじゃその事実を全部認めるんだな。」
「そうです。」
それで問答はおしまいだ。検事は何も言うことがないと見えて、黙って裁判長にうなずいた。
そして弁護士が二十分ばかりそのお得意の雄弁をふるったあとで、
「よろしい。禁錮三週間。罰金いくらいくら。次は何の誰……」
裁判長がそう判決を言い渡すと、僕等のうしろに立っていた巡査の一人が、さあ行こうと言って一緒にそとへ連れて出た。
フランスでは、未決拘留の日数は三日間をのぞいたあとをすべて通算する。で、僕はその日に満期となって、翌日は放免の訳だ。
あっけのないことおびただしい。
裁判所の下の仮監では、この日同じ法廷で裁判される四、五人の男と一緒にいた。
裁判の始まるのを待つ間、みんなガヤガヤと自分の事件についての話をしあっていた。