Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんだっしゅつき
日本脱出記
大杉 栄
Lesen Sie 日本脱出記 (にほんだっしゅつき) von 大杉 栄 (おおすぎさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 76.254 Zeichen · 151 Bildschirme
四
しかし彼は、船の中での日本人に対する馴れ馴れしさを見せるどころでなく、反対に僕の方からのこの馴れ馴れしさをまずその態度で斥けてしまった。そして僕が腰かけている前に突っ立ったまま、僕の言葉なぞに頓着なく、まるで裁判官のような調子で僕を訊問しはじめた。
「君はどうしてMを知っているんです。」
僕は、はあ始まったな、と思いながら、机の上に頬杖をついて煙草をふかしながら、ありのままに答えた。こうしている間に、きっとまだ電報を受取っていないMが、どこかからそっと僕をのぞいてでもいるんじゃないかと思いながら。
しかし訊問はなかなか長かった。そして裁判官の調子もちっとも和らいでは来なかった。
そこへ、ふいと表の戸が開いて、Mがはいって来た。そしてあわてて僕の手を握って、ポカンとしているみんなに何か言い置いて、僕を二階へ連れて行った。
四
「いや、どうも失礼。実は、日本人でここへはいって来たのはあなたが初めてなんですよ。それに、あなたが来るということは僕とLとのほかには誰も知らないんだし、僕もまだあなたからの電報は受取ってなかったんですよ。」
Mは、さっきの裁判官ほどではないが、かなりうまい日本語で、弁解しはじめた。