Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にほんだっしゅつき

日本脱出記

大杉 栄

Lesen Sie 日本脱出記 (にほんだっしゅつき) von 大杉 栄 (おおすぎさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 76.254 Zeichen · 151 Bildschirme

Aozora Bunko

二

酒も葡萄酒とビールとなら、机の上に瓶をならべて、一日ちびりちびりやっていてもいい。

酒のことはまたあとで書く。その前にドリイの歌を一つ入れたい。

独房の

実はベッドのソファの上に

葉巻のけむり

バル・タバレンの踊り子ドリイ

窓のそとは春だ。すぐそばの高い煉瓦塀を越えて、街路樹のマロニエの若葉がにおっている。なすことなしに、ベッドの上に横になって、そのすき通るような新緑をながめている。そして葉巻の灰を落しながら、ふと薄紫のけむりに籠っている室の中に目を移すと、そこにドリイの踊り姿が現れて来る。彼女はよく薄紫の踊り着を着ていた。そしてそれが一番よく彼女に似合った。

二

パリの牢のスウヴニルに

酒の味でも

飲み覚えよか

Ca va ! Ca va !

僕はもう五、六年前から、ほんの少しでもいいから酒を飲むようにと、始終医者からすすめられていた。

が、飲めないものはどうしても飲めない。日本酒なら、小さな盃の五分の一も甜めると、爪の先まで真っ赤になって、胸は早鐘のように動悸うつ。奈良漬けを五切れ六切れ食べてもやはりおなじようになる。サイダーですらも、コップに二杯も飲むと、ちょっとポオとする。