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Japanische Klassiker mit Furigana

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にほんだっしゅつき

日本脱出記

大杉 栄

Lesen Sie 日本脱出記 (にほんだっしゅつき) von 大杉 栄 (おおすぎさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 76.254 Zeichen · 151 Bildschirme

Aozora Bunko

ばかりだった。

その中で一人、それでも一番人の好さそうな男だったが、いつもふらふらした足つきで僕等のそばへやって来て、ろれつの廻らない舌つきで何か話しかける男があった。

「俺あこういうもんなんだ。」

と言いながら、その差しだす軍隊手帳を見ると、読み書きはできる、ラッパ手、上等兵とあって、その履歴には、ほとんど植民地ばかりに、あすこに二年ここに三年というように、十八年間勤めあげたことが麗々しく書きならべてある。懲罰の項には何にも書いてない。が、褒賞の方には何かいろいろとあった。そして今は病気のために除隊するのだとある。

「それでもこれっぽちの金しか貰わないんでさあ。」

彼はそう言いながら、破れた財布の中から十フランの札を四、五枚パラパラとふって見せて、

「アハハハ。」

と笑った。それが不平なのだか、嬉しいのだかすらも、ちょっとは分らないほどに。

が、この飲んだくれの兵隊どもはまだいいとしても、がまんのできないのは三等に乗りこんだ下士官どもだった。そいつらは、まったく熊か猪かの、猛獣のような奴ばかりだった。そしてそいつらの女房どもまでが、ろくでもない面をして。