Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

にほんだっしゅつき

日本脱出記

大杉 栄

Lesen Sie 日本脱出記 (にほんだっしゅつき) von 大杉 栄 (おおすぎさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 76.254 Zeichen · 151 Bildschirme

Aozora Bunko

そして僕は、そこから起る結果についての、ある大きな期待をもってフランスにはいった。

が、フランスは、マルセイユでもリヨンでもパリでも、実に平穏なものだった。今にも戦争が始まりそうだとか、こんどこそはとかいうような気はいは、少なくとも民衆の生活の中にはどこにも見えない。みんな何のこともないように呑気に暮している。

僕は、大戦争およびその後も引続いて盛んに煽りたてられた狂信的愛国心が、まだ多分に民衆の中に残っていると思った。が、そんな火の気は、王党の機関紙『ラクション・フランセエズ』を先登とする三、四の新聞でぶすぶすとえぶっているくらいのもので、どこにも見えない。

この『ラクション・フランセエズ』ですら、フランスで一番保守的でそして一番宗教的な大都会のリヨンで、しかも郊外とは言いながら寺院区とまで言われているある丘の上で、僕は六軒も七軒もの新聞屋を歩き廻ってとうとうその一枚も見出すことができなかった。

「ええ、戦争中にはずいぶん売れたもんですけれどもね。この頃はもうさっぱりですよ。で、売れないものを置いても仕方がないもんですから……。」

新聞屋の婆さんはどこへ行ってもみな同じようなことを言った。