Japanische Klassiker mit Furigana
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にちぼつのげんえい
日没の幻影
小川 未明
Lesen Sie 日没の幻影 (にちぼつのげんえい) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.424 Zeichen · 14 Bildschirme
)よく旅人は眠ってしまった。楽器を捨てて、手を投げ出して、あの疲れた心臓から洩れる息の音が、この静かな薄暗に鼓動をうって聞きとれるようだ。(間)日も奈落へ沈んでしまった。この旅人は、再び沈んだ日の登るのを見ない。永遠にこの旅人は眠りから醒めない。昔から、この窓の下を通る者で、この窓を開けようと試みたもの、また覗いて秘密を見ようと思ったものは、皆な命を落してしまう。……この小舎を古びた腐れたものと思い、誰も住んでいないと思うもの程、愚かなものはない。まあ、この小舎は、ちょうどこの沙原を通る旅人の命を取るために長えに解らない謎となって、この沙漠に建てられた小舎だということを知らない。私の、いつまでも姿の若いのは、生きた旅人の命を吸い取るからである。私の、頭髪のいつまでもこう長く、黒いのは、生きた旅人の血をすするからである。私の顔の、いつまでも美しいのは、旅人の中の詩人に恋いせられ、慕われるからである。空を過る星も私の顔の美しいのに見惚れた。何という私の性質は残忍であろう。その慕い、恋する詩人の命も手を触れるとすれば取ってしまう。これが私の生れつきだから仕方がない。