Japanische Klassiker mit Furigana
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にっき
日記
宮本 百合子
Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.692 Zeichen · 10 Bildschirme
小さい発動船が二三艘もやってある。水瓜をどっさりカマスに入れたのを、赤銅色の若い者が二人でどこかの船から荷あげしている。いかにもなぎで、波らしい波もない。すぐ石垣の急な段々を一段一段用心ぶかく下りながら、鉢巻をした爺さんが、発動汽船の油の罐をてんびん棒でになって、小舟へつみこんでいる。微かな海の匂い、気発する油の波止場らしい匂い。心持がいい。
右の方に昔の船つき場の石垣が見える。そのむこうに女子師範の木造の校舎が眺められる。そこからずっと岬がのびていて、ここの内湾は内海の内のまた湾という工合になっている。
岬のこちらからは見えない側に観光ホテルが出来て、そこは海軍関係のひとたちの出入りするところとなっているそうだが、野原あたりとくらべると、ここは新興の熱い亢奮の中心からややはなれた感じで、気分もさほどたかぶっていない。
近いところから遠く、更に遠くとつらなっている瀬戸内海の島々の霞んだ景色を眺めていたら、この前○ちゃんが出征したあと、母さんと金毘羅さんへ行くとき尾道から乗った船の旅を思い出した。ボーイは何となし曖昧にずるくていやだったが、船はいい心持だった。