Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme
そうした祖父の存在は子供たちからは忘られがちで、外祖母は末の娘と二人で住んでいるものだとばかり思った。上野下の青石横町に住んでいたころも、根岸のお行の松のすぐきわに、音無川の前にいたころもそうだった。老嬢になった娘のミシン台とたんすが一棹あるきりのわびしい暮しかただった。どうしてこんなにガランとしているのかと思ったが、それはみんな湯川氏が硫黄発見に入れこんでしまうのだった。たまたまとまりにいった時、祖父が帰ってきたりすると、妙な風躰をした男がぞろぞろくるので嫌でならなかったが、家に帰って父に訊くと、父はまたかというようで、
「老爺さんまた賺されなければいいが。」
と呟やいた。彼の周囲のものも、僅少な家禄放還金をみんな老爺さんの硫黄熱のために失われてしまっているのだということを、あたしたちも段々に悟った。
なにが湯川老人をそんなに硫黄狂人にさせたか知るものがない。ともかく四十年からの彼の事業である。重に北の方を歩いていたが小笠原島あたりにもなんのためか長くいた。山のめききは凄いほど当ったが、訓練にも工夫をつんだが、悲しいかな老爺さんの発明は、丁度お直参の株をかったのと同じようにいつも世界の年代からおくれている。