Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme
そして言うことはおなじだった。
「何しろ、一鍬いれるとプンと強く硫黄が匂うのだから、胸が苦しくって飯も食えない。」
老爺さんの硫黄はよく出来た。しかし近間の山林は官林なので、民有林から伐木して薪を運ぶのに、嶮岨な峰を牛の背でやった。製煉された硫黄も汽車の便がある土地まで牛や馬が運んだ。東京や横浜へ送られると、運賃と相殺でフイになってしまう。
その後も幾度か繰返された失敗のあとで、晩年を湯川氏夫妻は長谷川氏に引きとられた。八十を越しても硫黄の熱は燃ていた。小さい机にしがみついたまま、贅沢は身の毒になると、蛍火の火鉢に手をかざし、毛布を着て座っていた。例により珠算と、細かい字と、硫黄の標本をつくったり、種々にして手に入れる硫黄の一つまみを燃したり製煉したりして、庭隅に小さな釜をこしらえたりして首をひねっていた。その頃は父も閑散な身となって佃島にすんで土いじりをしていたので、一所に植木いじりはしていたが――たまたま粋な客などが来て、海にむかった室で昼間の一酔に八十翁もよばれてほろよいになると、とてもよい声で、哥沢の「白酒」を、素人にはめずらしい唄いぶりをした。