Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme
」
だが、死期はせまっていたのだった。保てるだけもった体は、ポクリと倒れるまで余命を保っていただけだつた。医者は言った。何ともないが死ぬだろうと、しかも十日はどうかと――
葬式にも間に合わないだろうがと、台湾から出て来た例の虎と蛇薬の婿は、蚊にさされながらブツブツ言った。
「こんな事なら、わしゃ言うとかにゃならぬことや、仕ておかにゃならんことが沢山沢山あったに――おじいさん、どこまで他人を困らせる人か、わしゃもう、若いころからこの人のためには、ほん、サンザンな目に逢うとるわ。」
医者も驚いた。こんな事はないがと――そのくせ死期は来ているのだが。
「おじいさん癌があったのだね、驚いたなあ、何時ころからなんだ。」
医者にもわからないものが、誰にも分りようはなかった。強い、しどい、刺戟のある臭気を、香を焚き、鼻の穴へ香水をつけた綿を挿て私が世話をすると、その時だけ意識が分明して、他の者には近よらせなかった。そしてお世辞がよかった。
何に拘わっているのか――と私は考えた。
「おじいさん、お酒がほしい?」
ニコリとしたような表情だ、私は薬指のさきに、薄めた清酒をつけて嘗めさせるとおちょぼ口をした。