Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme

Aozora Bunko

吉原大籬の遊女もボンネットをかぶり、十八世紀風のひだの多い洋服を着て椅子に凭りかかって張店をしたのを、見に連れてゆかれたのを、私はかすかに覚えている。わが日本橋区の問屋町は、旧慣墨守、因循姑息の土地だけに二、三年後にジワジワと水の浸みるようにはいって来た。でも私はびっくらした事がある。ある日、家へ帰ってくると、知らない顔のお母さんがいる。それが毎日の通り、ちっともちがわないお母さんらしい事をしてくれるが顔がどうも違うのだった。なぜなら母の顔は眉毛がなくって薄青く光っていた。歯は綺麗に真黒だった。それなのに、目の前に見る母はボヤボヤと生え揃わない眉毛があって、歯が白くて気味が悪かった。彼女はまた何時になく機嫌よくニヤニヤするのでよけい気味が悪かった。

と、祖母が言った。

「おたき、眉毛が立って狸のように見えてじじむさい、それだけは剃ったがよい。」

母は嬉しくなさそうな返事をしたが、私はやっぱりお母さんだったのだと思った。急に黒襟のない着物を着たのと、髪の違ったのがなおさら人柄を違えて見せたのだった。

私たちはその頃輸入されたばかりの毛糸で編んだ洋服を着せられ靴をはかせられた。