Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme
裏の百姓家も植木師をかねていたので、おばあさんの小屋の台所の方も、雁来紅、天竺葵、鳳仙花、矢車草などが低い垣根越しに見えて、鶏の高く刻をつくるのがきこえた。おばあさんの片折戸のせまい空地も弟切り草が苔のように生えて、水引草、秋海棠、おしろいの花もこぼれて咲いていた。
あたしにはその家がめずらしくってたまらなかった。車馬の轟きはめったに聞こえず、人が尋ねてくるではなし、昼間家の中を青蛙が飛んでいるし、道ばたの小家に簾を釣って、朝、夜明から戸をあけて蚊帳は釣りっぱなしで寝ていると、まだほの暗い中を人声がして前の川で顔を洗っている。
「おばあさん、あれはなに?」
ときくと、あの顔の大きなおばあさんは、あたしが大人のような返事をして、
「吉原がえりだろうよ、朝がえりだね、ふられて帰る果報者ってね。」
「降られてはいやしないよ、お天気だよ。」
とアンポンタンとちゃんぽんな問答をする。そうかと思うと、
「入谷へ朝顔を見にゆこうかね、それは美事だよ。」
「田圃へ蓮の咲くのを見に行こうよう、おばあさん。ポンポンて音がするってね?」
「この子はまあ、田圃が好きで、お百姓のお嫁さんにしなければなるまいかねえ。