Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme
私は幾度か見たものもあればまだ一度も開いたことのないものもあった。小さな私が一心を魅られてしまっている時にこの二人の閑人――老婆がどんな話をしていたのか、思出すことも出来ない。
「これだけ拝借して、一日三銭でよいと仰しゃったよ。」
湯川のおばあさんは帰り道でそういった。私の本の見方が、大人より大切にして、キチンと座って読んでいるのに、先方の老女が感心して安くしてくれたのだと、――それにしても、あんまり少額ないお礼に驚いた。
「宅にあるのを、みんな読ましておあげなさい。お好なものを見せないなんて、わからない親御さんだ。」
そうも言ったのだそうだ。けれどその家にはくさ草紙よりほかなかった。
夕暮が来て、草双紙にもあきると、おばあさんを誘ってまた田圃に出た。蛍がチラホラ飛んでいる。小さな棺を担がした人がスタスタ通ってゆく。前の堰では農具を洗っている。鍬が暗にも光る――その側で、大きな瓜を二ツに裂いている。
「この種をも一度蒔くので、熟れすぎたから塩押しにするのだ。」
と教えてくれる。三河島田圃の方の空が明るくて、賑やかな物音のする心地がすると、あっちが吉原だと言った。