Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme
私は死んでも、決して自分ひとり所有の、立派なお墓なんていうものを建るものではないと、その時思った。前にもいったが、藤木家一族の墓石は幾十基かならんでいるが、その中に、特によい位置をしめて、四角四面、見上げるほど高く、紋をつけた家根まで一ツ石でとってある、石の質も他のとは違うゆいしょありげな一基は、ずっと前の徳川将軍に昵懇していた女性の墓だということだった。それがまあ、なんと光栄なお見出しに預かったことか、肝心な墓の主に断わりもなく――尤も断わろうにも百万億土にゆかなければならないが――墓主が代ったことである。これがいい、これがいい、そんな風にかんたんにとりかわってしまった。そして、かつてはどんな美女で、将軍の意志、即ち時の天下の意志を動かしたかも知れない女の墓名は、チンコッきりおじさんの名に代ってしまった。尤も、何々院殿という偉そうな名にはなったが――
しかし、もとの墓主だって、私は美女ときめているが、どんな人だったのか、それはわかりはしない。墓石が立派だから、下の人まで立派だといわれない。むしろ藤木さんなどは愛すべき俗人だ。彼は言ってるだろう。