Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme

Aozora Bunko

色の浅黒い大きな顔で、鼻がすっと高くってしおのある眼だった。剃った眉毛がまっ青だった。大きな赤い口で、歯は茄子色につやつやしていた。洗い髪がふっとふくれて、浴衣に博多の細帯をくいちがうように斜にまいていた。

その女が、団扇をもつ手で、葭屏風をかたよらせながら言った。

「そのお子さんかい、きんぼう。」

十歳で、小柄で、ませている、清元の巧者な、町の小娘お金坊は、蝶々髷にさした花簪で頭を掻きながら、ええといった。あんぽんたんのことは話しずみの友達だったのだろう。

「やっちゃん、てったのねえ。」

その女は綺麗な、ちりめんの小枕に絹糸の房の垂れている、きじ塗りの船底枕をわきによせながら、花莚の上へ座ったままでいった。そばには大きな猫がいた。

あたしは猫が大きらいだ。おまけに化けそうな大猫で、ふとい尻っぽの長いのだから、なおいやだった。それにもかかわらず、初対面のこの女の魅力と、ここの、せまい家の、八幡の藪しらずのような面白さに、おきんちゃんについて毎日通うようになってしまった。

おしょさん、とおきんちゃんは叔母さんのことを呼ぶ。その時分、好事家の間から、漸く一般的に流行しかけて来た、東流二絃琴のお師匠さんだったからだ。