Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme

Aozora Bunko

てっきり赤ン坊は焼け死ぬものと誰もが思ったが、小さい布団のまま引摺り出されて眠っていたという子は、支那人の人浚いの難からも逃れたのだった。そのアンポンタンが、どうした事か音に好ききらいが激しくって、蕎麦屋のおばあさんを困らしたが――

丁度ここに、いつぞや『婦人公論』へ書いた短文をはさもう。

隣家の蕎麦屋で粉をふるう音が、コットンコットンと響いてくると、あたしは泣出したものです。住居蔵の裏が、せまい露地ひとつへだてて、そばやの飛離れた納屋があったので、お昼過ぎると陰気なコットンコットンがはじまる。神経質な子供だったと見えて昼寝していても寝耳に聴附けて泣出したのです。両親や祖母が困ったと言っていたのは、後日できいた思出でしょうが、そのふるいの音も厭だったに違いありませんが、その家全体が子供心にきらいだったのではないかと思われます。どうも暗い小さなそばやらしかったのです。「利久」といって、主人になった息子とお媼さんだけで、そのお媼さんが、骨だった顔の、ボクンとくぼんだ眼玉がギョロリとしていて、肋骨の立った胸を出して、大肌ぬぎで、真暗なところに麺棒をもってこねた粉をのばしていると、傍に大釜があって白い湯気が立昇っていたり、また粉をふるっている時は――宅の物置のつづきのさしかけで、角の小さな納屋の窓から、そのお媼