Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme
だが、鉄さん自身が浅間しい姿で、地虫のように台所口につくばった時、祖母は決してゆるさなかった。同情の安売りはしなかった。取次ぎが、ぜひ御隠居様にお目にかかりたいと申ますと伝えたとき、台所の敷居に手をつくようなことをせず、表から来いと言わせた。
彼女は卑屈を嫌ったが、決して貧乏を厭いはしない。ところが、哀れな鉄さんは、卑屈をいやしまず貧乏を鼻白んだ。彼は何時までもウジウジ屈んでいた。祖母は堪らなくなったと見えて台所口へゆくと柄酌に水をくんで鉄さんの頭からあびせかけた。
「とっととゆけ、用があらば伯母の家だ、表からはいれ。」
そう怒鳴った。ブツブツ口小言をいっていた母が、かえって気の毒がって小銭を与えたりした。
鉄面皮な甥は、すこしばかり目が出ると、今戸の浜金の蓋物をぶるさげたりして、唐桟のすっきりしたみなりで、膝を細く、キリッと座って、かまぼこにうにをつけながら、御機嫌で一杯いただいていた。そんな日にはいやに青い髭だと思った。
この男、晩年に中気になった。身状が直ってから、大きな俥宿の親方がわりになって、帳場を預かっていたので、若いものからよくしてもらっているといった。