Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
おふくろの病気は唯一度の祈祷で平癒したのに、息子の病気、しかも差し当ってはどうということもない病気が、幾日の祈祷を頼んでも去らないのはどういうわけであろう。殊に夜更けを待って秘密の祈祷をつづけるというのも少しおかしいと、一の番頭の重兵衛が、それとなくお豊に注意したが、かの行者を固く信用しているお豊は絶対に耳を藉さなかった。伊勢屋の主人は五年まえに世を去って、今では後家のお豊がひとり息子の後見役でこの大きな店を踏まえているのであるから、彼女が飽くまで行者を信仰して、わが子の祈祷になんの故障もない限りは、ほかの奉公人どもが強いてそれをさえぎるわけには行かなかった。久次郎はその後も相変らず通いつづけていた。その奉納物は親子二人きりの相談で、店の者共にはよく判らないのであるが、ひと月あまりのあいだに二、三百両を運び込んだらしいと番頭どもは睨んでいた。
そうしているうちに、久次郎の様子がだんだんおかしくなって、この頃はちっとも落ち着かないようになって来た。店に坐っていたかと思うと、不意にどこへかふらふらと出て行ってしまうのである。彼はなんだか魂のぬけた人のようにみえた。