Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
年のわかいお滝は呆気に取られて眺めていると、かれは忽ち蚊帳から這い出して来て、もとの水口から駈け出してしまった。まだ起きたばかりで半分寝ぼけているお滝には、何がどうしたのか判らなかった。彼女はしばらく夢のように突っ立っていたが、なんだか少し不安にも思われるので、そっと茶の間へはいって蚊帳の中をのぞいて見ると、新兵衛の寝衣には紅い血が一面に泌み出していた。
腰をぬかさないばかりにびっくりして、お滝は二階へかけ上がった。二階には娘のお照と妹芸妓のお浪とが一つ蚊帳のなかに寝ているので、彼女は忙がわしく二人の女をよび起した。二人もおどろいて降りてみると、新兵衛は刃物で喉笛を切られてもう死んでいた。三人は一度に声をあげて泣き出した。朝寝の町もこの騒ぎにおどろかされて、近所の人達もだんだんに駈けあつまって来た。町役人から式の通りに変死の届けを出して、与力同心も検視に出張した。
新兵衛は誰にどうして殺されたか、唯一の証人は女中のお滝であるが、彼女は十七の若い女で、寝惚けていたのと狼狽えていたのとで、もちろん詳しいことはなんにも判らなかった。彼女が番屋で申し立てたところによると、曲者は背の低い小児のような怪物で、顔もからだも一面に黒かったのを見ると、おそらく裸体であったらしい。