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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(二)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme

Aozora Bunko

「あの息子は何とか云ったっけね」

「定さんというんです」

「違げえねえ。定次郎というんだね。その定次郎はゆうべから帰らねえか」

半七は腕を拱んだ。どういう仔細があるか知らないが、おやじの新兵衛は土地を売って他国へ行こうという。娘のお照は江戸を離れるのが忌なのと、もう一つには情夫と別れるのが辛いのとで、どうしても行かないと駄々をこねる。親子喧嘩がたびたび続く。その挙げ句に新兵衛が何者にか寝込みを襲われて殺された。こう煎じ詰めてくると男と女とが共謀か、それとも男ひとりの料簡か、どっちにしてもその下手人はかの定次郎らしく思われるのが、誰の眼にも映る暗い影であった。それを正直に白状しないために、お照は番屋に止められたのであろう。半七もその以上には、差し当って目串のさしようがなかった。

唯ここに一つの疑問として残っているのは、なぜ彼の新兵衛が住み馴れた柳橋の土地を立ち退いて、沼津とか駿府とかの遠い国へ引っ込もうというのか。半七はその仔細を知りたかった。

二

「おめえは一つ家にいるんだから、何もかも残らず知っている筈だが、お前のところの親父は人から怨まれるような覚えがあるかえ」