Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
「どうした。いけねえか」
「自身番の疝気野郎、飛んでもねえどじを組みやがって、お話にもならねえ」と、幸次郎は忌々しそうに云った。「なんでもこっちの方角へ来たらしいんですが、どうしても当りが付かねえには困りました。どうしましょう」
「仕方がねえ」と、半七も溜息をついた。「だが、餓鬼のこった。まさかに草鞋を穿くようなこともあるめえ。いずれ何処からか這い出して来るだろう。なにしろ、腹が空って来た。そこらで蕎麦でも手繰ろう」
二人は堤下へ降りて食い物屋をさがした。蜆の看板をかけた小料理屋を見つけて、奥の小座敷へ通されて夕飯を食っているうちに、萩を一ぱいに植え込んであるらしい庭先もすっかり暗くなって、庭も座敷も藪蚊の声に占領されてしまった。
「日が暮れたのに蚊いぶしを持って来やあがらねえ。この村で商売をしていながら、気のきかねえべらぼうだ。これだから流行らねえ筈だ」
むしゃくしゃ腹の幸次郎は無暗にぽんぽんと手を鳴らして、早く蚊いぶしをしろと呶鳴った。女中は蚊いぶしの道具を運んで来て、頻りにあやまった。
「相済みません。店でお化けの話を聴いていたもんですから、ついうっかりして居りました」