Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
兼吉はもう五十ばかりであるが、男でもあり、職人でもあり、こういう時の道連れには屈竟だと思われたので、文字春はほっとして一緒にあるきだした。それでも馬場の前を通りぬける時には襟元から水を浴びせられるように身をちぢめながら歩いた。さっきからの様子がおかしいので、兼吉はなにか仔細があるらしく思って、暗い堀端を歩きながらだんだん聞き出すと、文字春は声を忍ばせながら一切の事情を話した。
「あたしは最初からなんだか気味が悪くってしようがなかったんですよ。別にこうということもないんですけれど、唯なんだか忌な心持で……。そうすると、とうとう途中でふいと消えてしまうんですもの。あたしは夢中で四谷の方へ逃げだして、これからどうしようかと思っているところへ丁度棟梁が来てくれたので、あたしも生きかえったような心持になったんですよ」
「そりゃあ少し変だ」と、兼吉も暗いなかで声を低めた。「師匠。その娘は十六七で、島田に結っていたと云ったね」
「そうよ。よく判らなかったけれど、色の白い、ちょいといい娘のようでしたよ」
「なんで津の国屋へ行くんだろう」
「お雪さんに逢いに行くんだって……。