Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
しかし吟味になってからも、口の利き方なぞははきはきしていて、普通の人と変らなかったそうです。当人の白状によると、前の文化三年に槍突きをやったのは、その兄貴の作右衛門という男で、これは運好く知れずにしまったんですが、もうその時には死んでいたとはいよいよ運のいい奴です。作右衛門の兄弟は親代々の猟師で、甲州の丹波山とかいう所からもっと奥の方に住んでいて、甲府の町すらも見たことのない人間だったそうですが、なにか商売の獣物を売ることに就いて、兄貴の作右衛門がはじめて江戸へ出て来たのは文化二年の暮で、あくる年の春まで逗留しているうちに、ふと妙な気になったのだと云います。
それは、生まれてから初めて江戸という繁華な広い土地を見て、どの人もみんな綺麗に着飾っているのを見て、初めは唯びっくりしてぼんやりしていたんですが、そのうちにだんだん妬ましくなって来て……。羨ましいだけならばいいんですが、それがいよいよ嵩じて来て、なんだかむやみに妬ましいような、腹が立つような苛々した心持になって来て、唯なんとなしに江戸の人間が憎らしくなって、誰でもかまわないから殺してやりたいような気になったんだそうです。