Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme
殿さまも奥さまも御存じ無しだ。ところが、悪いことは出来ねえもので、それをどうしてか若けえお嬢さまに見付けられた。すると、このお嬢さまが又、生みの親の奥さまよりも不思議にお妾の方に狎いていたので、それをそっとお妾に教えたのだ。お妾もすぐにそれを奥さまか用人にでも耳打ちして、なんとか取り計らえばよかったのだが、自分ひとりの胸に納めて置いて、誰にも知らさずに穏便に済まそうと考えた。お妾はもちろん悪意じゃあねえ、若殿さまに瑕を付けめえという忠義の料簡から出たことだが、その忠義が仇となって飛んだことになってしまった。というのが、去年の暮れに、お妾は自分の親もとへ歳暮の礼に行った。その時にかの女中を供に連れて出て、こっそりと意見をした。若殿さまのことは思い切って、来年の三月の出代りには無事にお暇を頂いて宿へ下がってくれ、と因果を含めて頼むように云い聞かせた。それも屋敷の為、当人たちの為を思ったことだが、女中の方はもう眼が眩んでいるから、そんな意見は耳にはいらねえばかりか、却って其の人を恨むようにもなった。お妾が余計な忠義立てをして、無理に自分たちの仲を裂くのだと一途に思い込んで……。