Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme
「年造の寺はどこだね」
「改代町の万養寺です」
「年造の菩提所かえ」
「いいえ。年さんのお寺は無いとかいうことで、大さんが自分の知っているお寺へ納めて貰ったのです」
「いや、ありがとう。わたし達が訊きに来たことは、誰にも内証にして置いてくんねえ」
表へ出てみると、関口屋は女房の初七日も過ぎたのであるが、コロリ患者を続いて出したので、近所へ遠慮の意味もあるのか、大戸を半分おろして商売を休んでいるらしかった。半七は気の毒に思った。
改代町は牛込であるが、ここから遠くない。二人は江戸川の石切橋を渡って、改代町へ行き着くと、ここらは俗に四軒寺町と呼ばれて、四軒の寺のほかに、古着屋の多い町である。寺々のうしろは草原で、又そのうしろには一面の田畑が広がっている。草原には丈の高い芒がおい茂って、その白い穂が青空の下に遠くなびいていた。どこかで鵙の啼く声もきこえた。
二人は万養寺の前に立った。あまり大きい寺ではないが、内福であるという噂を近所で聞いた。「寺は困るな」と、半七はつぶやいた。「年造は幽霊じゃあねえ、確かにほんものらしい。大吉と一緒にここに潜り込んでいるのだろうと思うが、迂濶に踏み込むわけにも行かねえ。