Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme
こんにちとは違って、片側は大川、片側は武家屋敷ばかりで、日が暮れると往来の少ないところです。しかし日が暮れたといっても、まだ薄明るい、殊に多吉は商売柄、夜道をあるくのは馴れているので、平気で横網の河岸のあたりまで来かかると、向うから二人の男が来るのに逢いました。
見ると、二人は早桶を差荷いでかついでいる。このごろの弔いは珍らしくもないのですが、たれも提灯も持っていない。まだ薄明るいとはいいながら、日暮れがたに早桶をかつぎ出すのに無提灯はおかしいと、多吉は摺れちがいながらに、その二人の顔を透かして視ると、なんと思ったか二人は俄かにうろたえて、かついでいる早桶を大川へざんぶりと投げ込んで、一目散に引っ返して逃げ出したのです。多吉もいささか面くらって、そのあとを追っかける元気もなく、唯ぼんやりと見送っていましたが、なにしろ早桶をほうり込んだのを、其のままにして置くわけには行かないので、取りあえず東両国の橋番小屋へ駈け着けて、舟を出してもらいました。
おおかた此の辺であったかと思った所を探してみると、果たして新らしい早桶が引き揚げられました。その早桶の蓋をあけると、三十前後の男の死骸があらわれました。