Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme
店の者に云い置いて、半七は更に愛宕下の藪の湯をたずねた。藪の湯は女房が商売をしていて、その亭主の熊蔵は半七の子分である。そこで熊蔵の通称を湯屋熊といい、一名を法螺熊ということはかつて紹介した。その湯屋熊をたずねると、彼はあたかも居合わせて表二階へ案内した。
「丁度だれも来ていねえようです」
二階番の女を下へ追いやって、二人は差しむかいになった。
「そこで、親分。なにか御用ですか」
「お此はこのごろどうしている」
「お此……。入墨者ですか」
「そうだ。片門前に巣を食っていた奴だ」
「女のくせに草鞋をはきゃあがって、甲府から郡内の方をうろ付いて、それから相州の厚木の方へ流れ込んで、去年の秋頃から江戸辺へ舞い戻っていますよ」
「馬鹿にくわしいな。例の法螺熊じゃあねえか」
「いや、大丈夫ですよ。わっしだって商売だから、入墨者の出入りぐれえは心得ています。あいつ、又なにかやりましたか」
「どうもお此らしい。実はきょう午前に、田町の両替屋で悪さをしやあがった」
三島屋の一件を聞かされて、熊蔵は眼を丸くした。
「ちげえねえ。あいつだ、あいつだ。お此という奴は、前にも一度その手を用いた事があります。