Japanische Klassiker mit Furigana
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つきとてぶくろ
月と手袋
江戸川 乱歩
Lesen Sie 月と手袋 (つきとてぶくろ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.541 Zeichen · 80 Bildschirme
もうたくさんだわ。あたし、多勢の前で、大きな声でわめいてやりたくなった。股野を殺したのは北村克彦です。その共犯者はあたしですって」
(やっぱり女だな。もうヒステリー症状じゃないか。こいつは、ひょっとすると、おれがいくらがんばっても、だめかも知れんぞ)
「ねえ、あけみ、君は女だから、ふっと弱気になることがあるんだ。思い直してくれ。若し僕らが参ってしまったら、ふたりの生涯は台なしなんだぜ。僕だけじゃない、君も共犯として裁判をうける。そして、恐ろしい牢屋に入れられるんだ。そればかりじゃない。たとい刑期が終っても、金は一文もないし、世間は相手にしてくれない。それを考えたら、どんな我慢でも出来るじゃないか。ね、しっかりしてくれ」
「そんなこと、あたしだって知ってるわ。でも、理窟じゃだめ。このいやあな、いやあな、地獄の底へ沈んで行くような気持は、どうにもならないんですもの」
「君はヒステリーだ。睡眠不足だよ。アドルムをのんで、グッスリ寝たまえ。少しでも苦しみを忘れることだよ。僕はウィスキーだ。あの懐かしいジョニー・ウォーカーだ」
しかし、それで終ったわけではない。来る日も来る日も、あけみがちょっとでも外出すると、必ずうしろから、コツコツとついて来た。