Japanische Klassiker mit Furigana
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つきとてぶくろ
月と手袋
江戸川 乱歩
Lesen Sie 月と手袋 (つきとてぶくろ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.541 Zeichen · 80 Bildschirme
いつものように物を云わなかった。こちらが話しかけると、ビクッとして、おびえた目をする。ろくに受け答えもできないほどだ。
「どうかしたのかい? 加減でもわるいの?」
「いいえ」
口の中でかすかに答える。そして、叱られた小犬のような目で、こちらを盗み見る。
すべてが不愉快であった。食事もそこそこに、ふたりは二階に上がった。克彦は飾り棚のジョニー・ウォーカーを取り出して、グラスに二杯、グイグイとあおった。寝室にはいって、着更えをすると、あけみはベッドに横たわり、克彦はベッドのはじに腰かけた。今夜はふたりで充分話し合わなければならない。
「あなた、どうしましょう。もうおしまいだわ。あたし、もう精も根もつきはてた」
「おれもウンザリした。だが、まだ負けられない。こうなれば、どこまでも根くらべだ。相手には確証というものが一つもないのだからね。われわれが白状さえしなければ、決して負けることはないんだ」
「だって、花田さんでさえあれでしょう。手袋とベルトの手品を見せつけられたとき、あたし、もうだめだと思った。相手はすっかり知り抜いているんだもの。股野が死んだあとで、あたしが替玉になって、窓から助けてくれと云ったことも、軍手のトリックも、そうして、あなたのアリバイを作ったことも、それから、あたしが自分で自分を縛って、洋服ダンスにとじこめ