Japanische Klassiker mit Furigana
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こだま
木精
Lesen Sie 木精 (こだま) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.628 Zeichen · 6 Bildschirme
巌が屏風のように立っている。登山をする人が、始めて深山薄雪草の白い花を見付けて喜ぶのは、ここの谷間である。フランツはいつもここへ来てハルロオと呼ぶ。
麻のようなブロンドな頭を振り立って、どうかしたら羅馬法皇の宮廷へでも生捕られて行きそうな高音でハルロオと呼ぶのである。
呼んでしまってじいっとして待っている。
暫くすると、大きい鈍いコントルバスのような声でハルロオと答える。
これが木精である。
フランツはなんにも知らない。ただ暖かい野の朝、雲雀が飛び立って鳴くように、冷たい草叢の夕、が忍びやかに鳴く様に、ここへ来てハルロオと呼ぶのである。しかし木精の答えてくれるのが嬉しい。木精に答えて貰うために呼ぶのではない。呼べば答えるのが当り前である。日の明るく照っている処に立っていれば、影が地に落ちる。地に影を落すために立っているのではない。立っていれば影が差すのが当り前である。そしてその当り前の事が嬉しいのである。
フランツは父が麓の町から始めて小さい沓を買って来て穿かせてくれた時から、ここへ来てハルロオと呼ぶ。呼べばいつでも木精の答えないことはない。
フランツは段々大きくなった。