Japanische Klassiker mit Furigana
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ますおとし
枡落し
山本 周五郎
Lesen Sie 枡落し (ますおとし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.765 Zeichen · 67 Bildschirme
「仕事のためなんです」とおみきは伏眼になって答えた、「あんまり明るいと、仕事がしにくいんです」
喜六は上り框に腰を掛け、タバコ入れと燧袋を出しながら、太い溜息をついた。
「おらあまた」と彼は云った、「まだ御亭主のことを恥じて、せっかくの出窓まで閉めてしまったのかと思った」
おみきは「まさか」と口の中で云った。
「こんなことをきくのはてれくせえが」と喜六はタバコをふかしながら云った、「窓が明るくっちゃあぐあいが悪いって、いったいどんな仕事なんだね」
「そんなにむずかしい事じゃないんですよ、ちょっとあがってみて下さいな」
おうめにお茶を淹れて、と云いながら、おみきは喜六を家へ招き入れた。その家は六帖と四帖半二た間に、厠と勝手という造りだった。裏長屋は総後架(いまでいう共同便所のようなもの)といって、厠は二十軒に一つしかない。ここへ来てから、おみき親子のもっとも困ったのはそのことだった。それだけでもこの角店へ移ったことは有難いことであった。
出窓のある六帖には茣蓙を敷いて、腰高のがっちりした台と、脇に道具棚が二つあった。おみきは台に向かって坐り、亀の甲のような物を台の上に固定し、道具棚から薄刃でゆるい三日月なりの刃物を取った。